パンやのおじさん

近所のパンやのパンがだいすきだ。一週間一度は買いに行かないとおしりがむずむずするぐらいすきだ。パンの味もすきだけど、おじさんがすきなのだ〜。おじさんははじめてパンを買ったとき、パンが入った袋をわたしに手渡しながら
『助かります。』
と言ってひょいと頭をさげた。そのときハートがずきゅ〜んと揺れた。
「ありがとうございました。またおこしくださいませ〜。(にっこり)」
と駅前のパンやではお盆をふきながらでも言っている今、ただ
『助かります。』
と言ったおじさん。ぐっとくる。それから毎週買い物に通って、世間話もするようになった。おじさんはご両親の介護をしながらパンやをひとりでやっているらしいことや、一度パンやを辞めたことがあることなどを話してくれた。
 3ヶ月くらいたったある日、あまりにおいしいので東京から来た友人を連れておじさんのパンやにいった。
「こちらにはご旅行で?」
レジに行くとおじさんはわたしに尋ねた。
(ああ、おじさんも人の顔が覚えられないんだな〜。)笑ってわたしが返事に困っていると
すかさず横から友達が『わたしはそうですけど、この人はよく来てますよ』
と言ったらおじさんは真っ赤になって、わたしの顔を見て
「あ、あ、そうでした、そうでした。」
とお店の奥にペコペコしながらいってしまった。なんて素直な人なんだろう。
おじさんのパンは持ち帰ってすぐにトーストして食べてもおいしいけど、3〜4日家に置いて焼くとまたおいしい。そのことをおじさんに報告に行くと
「あ、そうなんです。乳酸発酵してるみたいで。へへっへへっ。」
とおじさんは妖怪みたいに笑った。
 最近おじさんはお店のうらに変な形の駐車場を作った。非常に止めにくい。
「先日車で駐車場に入った人が5分してもお店にぜんぜん来ないので見に行ったら、どうやって停めたらいいか判らないってまだ車の中にいたんですよ。へへっへへっ。」
おじさんにはなぞがいっぱいだ。だけど、だから、わたしはおじさんが、おじさんの作るパンがすきだ。
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by ponchimemo | 2013-01-10 09:29 | 日記

ちいさい日記


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